先日、40代のご夫婦がNISAについて相談したいとオフィスへいらっしゃいました。
お話を伺っていくと、実はNISAの仕組みそのものより、「将来のお金がどれくらい必要になるのか、正直よくわかっていない」というのが本音でした。お子さんは小学生と中学生のお二人。教育費もこれから本格的にかかってくる時期です。老後の資金も気になっている。でも、何から手をつけていいのかわからないまま「とりあえずNISAを始めればよいのでは」と考えていました。
このご夫婦だけでなく、ご相談にいらっしゃる多くの方が、最初は「どの金融商品を選べばいいか」という「マネープラン」の話から入ることが多くあります。ただ、私がいつもお伝えしているのは、その前に決めておきたいことがある、ということで、それが「ライフプラン」です。
「ライフプラン」と「マネープラン」は似ている様で全く別のもの
「ライフプラン」とは、これから先の人生で、いつどんな出来事があり、どれくらいのお金が動くのかを、時間軸に沿って描いた「人生の設計図」のことです。お子さんの進学、住宅の維持費、車の買い替え、ご夫婦の退職、老後の暮らし方。これらを総合的に整理してお金の出入りを見える様にしていきます。
一方で「マネープラン」は、NISAや保険、預貯金の配分など、「具体的にどの金融商品を、どの様に活用するか」という話です。
そして、順番がとても大切です。「ライフプラン」という「全体設計」がないまま、「マネープラン」という「部分設計」から始めてしまうと、目的地のわからないまま乗り物を選ぶようなことになりかねません。
旅行の計画に例えると
旅行を計画するとき、多くの方はまず「どこに行きたいか」「何日間の旅にするか」というおおまかな計画を立ててから、飛行機や新幹線を選び、宿を予約します。
ところが、資産形成になると、なぜか「NISAをどう使うか」「どの商品・ファンドを選ぶか」という移動手段の話から入ってしまうケースが本当に多くあります。目的地つまり、将来どんな過ごし方をしたいか、何をしたいか、いくら必要かが定まっていないと、その移動手段が自分に合っているかどうかも、実は判断のしようがありません。
数字で見る「これからの支出の大きな山」
仮に、40歳のご夫婦でお子さんが2人(10歳・13歳)というご家庭で考えてみます。あくまで一般的な目安としての試算となりますが、お二人がそれぞれ大学まで進学されると、教育費は今後10年ほどの間に、合計で1,000万円程度かかることが考えなければなりません。そして、公的年金だけでは不足するとされる老後資金は、教育費を上回る数千万円単位になることも珍しくなく、こちらも合わせて準備が必須となります。
これらはあくまで目安の一つであり、ご家庭の状況によって大きく変わります。ただ、「教育費」と、それを上回る規模の「老後資金」という2つの大きな支出の山が、どちらも同じようなタイミングで近づいてくるご家庭が多いのも事実です。この山の高さと時期を先に把握しておくことで、初めて「毎月どれくらいNISAに回せるか、回すべきか」「保険はどう見直すか」などといった「マネープラン」の話を根拠を持って進めていけるようになります。
ライフプランは「一度作って終わり」ではない
そしてもう一つ大事なことがあります。「ライフプラン」は一度作ったら完成というものではありません。お子さんの進路が変わったり、転職やご実家の事情など、暮らしは常に変化していきます。世の中の環境も10年前と今とでは大きく違います。
だからこそ「ライフプラン」は「作って終わり」ではなく、「作って、実行して、定期的に見直す」という一つのサイクルとして捉えていただきたいのです。年に一度、あるいは大きな出来事があったタイミングで、設計図と実際の暮らしにズレが出ていないかを確認する。そのズレを見つけたら、「マネープラン」の微調整をする。この繰り返しが、将来の安心につながっていきます。
FPと一緒に「仕組み」を創り上げる
このサイクルをご自身おひとりで続けていくのは、正直なところ容易ではありません。忙しい毎日の中で、定期的に家計とライフプランを考えて見直す時間を確保するのは、思っている以上に大変なことです。
だからこそ、ライフプランの作成から、マネープランの実行、そしてその後の定期的な見直しまでを、ご家族と一緒に「仕組み」として伴走させていただくことがFPとしての大きな価値提供と考えています。一度きりのご相談ではなく、長く継続的にお付き合いさせていただく中で、その時々の状況に合わせて一緒に微調整をしていく。それが、私の考えるFPの役割です。
もし、今「NISAが気になっているけれど、そもそも自分の場合はどう考えればいいのかわからない」という状況でしたら、まずは「マネープラン」より前の「ライフプラン」のところから一緒に整理してみませんか?
