「あなただけに教えます」という言葉の裏側
前回は、SNSのクローズドグループへの誘導や「AI診断」「政府公認」を装った詐欺の手口をご紹介しました。
今回は、より巧妙で引っかかりやすい手口を取り上げます。共通するのは「あなたは特別です」という演出です。人は誰でも、特別扱いされると嬉しいもの。その心理を巧みに利用するのが、最近の詐欺の特徴です。
手口④ 「IPO当選」「特別枠」を使った詐欺
新規上場株(IPO)は、人気銘柄だと何十倍もの競争率になることがあります。その希少性を逆手に取ったのがこの手口です。
「先日ご応募いただいた◯◯社のIPO、当選されました!」
身に覚えのない応募枠に「当選した」と連絡が来るパターンや、「特別な応募枠をご用意できます」と持ちかけてきた上で、「全部当選しました」と偽り、購入義務があるとして多額の入金を要求するパターンが報告されています。
IPOの抽選は証券会社が行うものです。自分が口座を持っていない証券会社から「当選した」と連絡が来ることは、絶対にありません。
手口⑤ 「プロ投資家向け口座」「選ばれた人だけ」という特別感
「一般の方にはご案内していないのですが、あなただけに……」
こんな言葉で始まる勧誘も、金融庁に多数の情報が寄せられています。「プロ投資家向けの運用手法を特別に提供する」「選ばれた人しか使えない口座がある」という演出で、相手に優越感と信頼感を同時に与えます。
また、「無料で注目株の情報を提供する」として最初はタダで情報を渡し、徐々に有料サービスや入金へと誘導するケースもあります。「この人は親切だ」と思わせてから本題に入る。時間をかけた信頼構築が、この手口の怖さです。
手口⑥ スマホアプリを使った「架空の証券口座」
見た目は本物そっくりの証券会社アプリ。しかし、その中身はすべて偽物です。
グループチャットなどで投資を勧められた後、「口座開設のためにこのアプリをインストールしてください」と促されます。アプリには既存の証券会社に似た名称がつけられており、振り込んだ金額が画面上で残高として表示されます。取引結果も「利益が出た」と表示され、最初のうちは少額なら出金もできます。
しかし、まとまった金額を出金しようとすると、「税金の手続きが必要」「保証金として追加入金が必要」などと理由をつけられ、結局一切戻ってこない——これが典型的な被害の流れです。
入金先が個人名義の銀行口座であることも、この手口の特徴です。正規の証券会社が、個人名義の口座に振込を求めることは絶対にありません。
被害に遭ってしまったら、すぐここへ
もしも「おかしいかもしれない」と感じたら、一人で抱え込まず、今すぐに相談してください。
金融庁 金融サービス利用者相談室(詐欺的な投資に関する相談ダイヤル) 電話:0570-050588(平日10時〜17時) ※IP電話の場合は 03-6206-6066
証券取引等監視委員会 情報提供窓口 電話:0570-00-3581
警察相談専用電話 #9110(原則、平日8時30分〜17時15分) または最寄りの警察署
金融庁の公式サイトでは、業者名を入力するだけで登録の有無を確認できる検索機能も提供されています。勧誘を受けた際は、まずここで調べる習慣をつけていただくことをおすすめします。
FPとして、あらためて伝えたいこと
ほとんどのSNS投資詐欺の被害者の方は「自分は騙されないと思っていた」とおっしゃいます。手口は年々巧妙になっており、「怪しい雰囲気」が全く無いまま進むケースも増えています。
資産運用への関心が高まっている今だからこそ、情報の入口を慎重に選ぶことだ大事です。NISAをはじめ、正規の方法で資産形成を始めることは決して難しくありません。
「怪しい話が来たけど、どう判断すればいいか分からない」「本当に信頼できる投資の始め方を知りたい」
そんなときは、ぜひ一度ご相談ください。安心できる一歩を一緒に考えましょう。
