今回は直近の相談事例ですが、40代のご夫婦でお子さんは小学生と中学生。「教育費のために運用したほうがいいのは分かっているんです。ただ毎月余ったお金を預金に回すだけで、気づけば何年も経ってしまって」と話されていました。
少しご自身を責めるような口ぶりでしたが、これはご本人の意志の問題ではありません。
ドラマで考えた「ズレ」の話
最近、Netflixのドラマ「ダウンタイム」を見ました。美容医療の現場を描いた作品です。ドラマを見ながら、医療の世界で「直美(ちょくび)」と呼ばれる進路が議論になっていることを知りました。医師免許を取り、初期研修を終えたあと、大学病院等での専門研修に進まず美容医療に進むことを指す言葉です。
医師の育成には、多くの時間と費用がかかります。公的な資金も投じられています。だからこそ、病気やけがを診る医師が足りない中での直美という選択が良いのかどうかということも考えさせられます。
一方で、給与や働き方を考えて、その道を選ぶ若い医師を責めるのも違う気がします。社会にとって望ましいことと、個人にとって合理的なことが、必ずしも一致しないからです。この「ズレ」は、倫理観に訴えるよりも選択の条件そのものを設計し直すほうが現実的だと思います。
家計の世界でも同じことが起きている
実は、家計でも同じです。老後や教育費のために、将来の自分のためにお金を残したい。けれど目の前には、今月の出費や「今使いたい」気持ちがあります。人は目先の満足を実際より大きく感じやすいことが、行動経済学でも知られています。
頭では分かっているのに動けないのは、性格ではなく、人間にもともと備わった傾向なのです。
解決策は「頑張る」ではなく「仕組み」
だとすれば、毎月「今月は積み立てよう」と決意し続けるのは非現実的です。そうではなく決意が要らない状態を作る必要があります。
- 給与が入ったら、使う前に自動で積立に回す(先取り)
- 目的別に口座や枠を分け、教育費用・老後費用と「見える化」する
- 積立額は「余ったら」ではなく「最初に」決める
NISAのつみたて投資枠(成長投資枠でも可)も、毎月の自動積立と相性のよい制度です。続けるために、意志の力に頼らない設計にできる点が大きな強みです。
数字で見てみると
月3万円を15年間積み立てた場合、元本は540万円です。目安ではありますが、仮に年3%で運用できたとすると、約680万円になります。お子さんが小学生なら、高校・大学の時期にちょうど届く期間です。
ただし、これはあくまで計算上の数字です。運用成績は毎年変動し、元本を下回ることもあります。
注意したいこと
- 数年以内に使うお金(入学金など)は、値動きのある商品に回しすぎない
- 生活費の半年〜1年分程度の預貯金を先に確保する
- 金額は家計に無理のない範囲で (続けられない額は、仕組みとして機能しない)
まとめ
「続かない」のは、ご自身のせいではありません。大切なのは、続けやすい設計にすることです。何から始めるか迷ったら、ご家庭の状況に合わせて一緒に整理しますので、お気軽にご連絡いただければと思います。
