ここまで、ライフプランの考え方、自動化の仕組みと、お金の「土台」づくりについて書いてきました。最後のテーマは、その土台の上で、何をするかです。
ご相談の場で、「そういえば自分はどこに向かっているのか?何がしたかったのか?」とふと思われる方がいます。お金の話を続けるうちに本当に大切なものが見えてくるのだと思います。
まず確認したい「三大ライフイベント」
人生で大きな支出になりやすいのは、住宅、教育、老後です。ポイントを順番に整理します。
① 住宅:「借りられる額」ではなく「返せる額」で考える
持ち家か賃貸かに正解はなく、ご家庭の価値観で選ぶものです。大切なのは、金融機関が貸してくれる上限ではなく、無理なく返せる額から逆算すること。年間返済額が手取り年収の20〜25%程度に収まるかどうかが、一つの目安といわれます。金利タイプも、将来の返済額が変わる可能性を踏まえて、家計の余裕に合わせて選びます。
② 教育:進学ルートで必要額が大きく変わる
すべて公立か、私立を選ぶかで、必要な額は数百万円から1,000万円以上の差が出ます。特に高校・大学進学の時期に支出が集中するため、早めの準備が必要となります。児童手当を貯蓄や資産運用に回していくのも、有力な方法です。児童手当は2024年10月に支給期間などが拡充されており、受け取れる総額はお子さんの人数や年齢で変わります。特に3人以上は大きく改善されました。
③ 老後:「2,000万円」より「自分の数字」
世間でいわれる金額に一喜一憂するより、どんな暮らしをしたいかを先に考えます。そのうえで、ねんきん定期便で公的年金の見込み額を確認し、足りない分をNISAやiDeCoなどの資産運用で補う、という順番が基本です。
貯めるだけでは、もったいない
不安が強いと、お金を使うこと自体に罪悪感を覚えてしまう方も少なくありません。けれども、お金は使ってこそ価値が生まれます。特に、子どもの成長や、自分たちの健康には「今しかない時間」があります。
私もこの夏、中高生の子どもたちとシンガポールとマレーシアを旅行しました。経験にお金を使うことは、備えと同じくらい大切な「お金の使い方」だと、改めて感じています。
もちろん、旅行や体験も無制限というわけにはいきません。だからこそ、ライフプランの中に最初から組み込んでおけるとベストです。
「やりたいことリスト100」を書いてみる
夢を予算にするための、簡単な方法があります。
- 「お金がないから」「子育て中だから」という制限を、いったん外す
- 行きたいカフェや読みたい本といった小さなことから、転職や世界旅行といった大きなことまで、100個を目標に書き出す
- それぞれに「いつ頃」「いくらくらい」を書き添える
- 時期が近いものは特別費のバケツに、遠いものは長期の積立計画に組み込む
100個は多く感じるかもしれませんが、途中から本音が出てきます。ご夫婦それぞれが書いて見せ合うと、お互いの意外な一面に気づくこともあります。
働き方も選択肢のひとつ
ライフプランを描くと、働き方への考え方が変わることもあります。会社員として続ける、時短にする、パートにする。それ以外にも、フリーランスや起業という道もあります。
私自身、IT企業のシステムエンジニアから、FPとして独立した一人です。どの選択にもメリットとデメリット・不安があり、収入が不安定になる可能性もあります。だからこそ、数字で見通しを立ててから動くことをおすすめしています。
また、スキルや知識を身につける自己投資は、将来の「稼ぐ力」を支えます。ただし、費用に見合う成果が出るかは人それぞれです。無理のない範囲で、ご家庭の計画と照らして考えてください。
知っておきたい注意点
働き方を変えることも、自己投資も、「やりたいことリスト」の実現も、勢いだけで決めなくて大丈夫です。
独立や転職のように収入が変わる選択は、まず今の家計で、どのくらいの期間なら収入が減っても暮らしていけるかを確かめてから動くと、気持ちに余裕が生まれます。学び直しや資格取得も、いきなり大きく始めず、小さく試してみて、続けられそうか確かめる方法があります。
リストの夢も、全部を一度に叶える必要はありません。時期や費用は、状況の変化に合わせて、何度でも組み替えてかまいません。節目ごとに見直しながら、できるところから進めていきましょう。
「本当にやりたかったこと」から始めましょう
ライフプランの目的は、お金を増やすことそのものではなく、やりたいことを自分たちの手で叶えていくことだと私は考えています。何から整理すればよいか迷うときは、お気軽にご相談ください。
