積立投資 暴落時の心理と対処法

「今年初めに株価が下がったとき、正直、積立を止めようかと本気で悩みました」

ご相談に来られた方からそう打ち明けられました。NISAを始めて1年ほど、コツコツ積立を続けてきた矢先の下落局面。頭では「長期投資だから大丈夫」と分かっていても、証券口座の評価額がみるみる減っていくのを見ると、いてもたってもいられなくなったそうです。

このお気持ち、投資経験の長さに関わらず、多くの方が一度は経験するものです。以前の記事では「情報に振り回されないためのバイアス」について取り上げましたが、今回はもう一歩踏み込んで、暴落時に実際にどう行動すればよいか、という「行動編」としてお伝えします。

頭で分かっていても、体が動いてしまう理由

「長期・積立・分散が大事」ということは、多くの方が知識としてご存知です。それでも実際に資産が減ると不安になってしまうのは、人間には「損失を利益よりも大きく感じてしまう」という性質があるためです。同じ10万円でも、増えたときの嬉しさより、減ったときの辛さのほうが心理的に大きく感じられる、という傾向は、行動経済学でもよく知られています。

つまり、暴落時に不安になるのは「投資の知識が足りないから」ではなく、人間として自然な反応だということです。まずはこの前提を持っておくだけで、「自分は弱いから不安になるんだ」と自分を責めてしまう必要がなくなります。

やめたくなったときにやりがちな3つの行動

相談の中でよくお聞きするのは、次のような行動です。

1つ目は、下落した直後に積立や運用を全て解約してしまうことです。一時的な下落で売却すると、その時点で損失が確定してしまい、その後の回復局面の恩恵を受けられなくなってしまいます。

2つ目は、逆に「今のうちに買い増ししなければ」と、生活防衛資金にまで手をつけて追加投資をしてしまうことです。

3つ目は、日々の値動きが気になりすぎて、何度もアプリを開いて評価額を確認してしまい、精神的に疲れてしまうことです。

いずれも、その時々の感情に流されて行動してしまっている点が共通しています。大切なのは、どうするかを「暴落が来る前」にあらかじめ決めておくことです。

暴落が来る前に決めておきたいこと

具体的には、次の3つを事前に整理しておくことをおすすめしています。

1つ目は、生活防衛資金として、生活費の半年〜1年分程度は運用に回さず現金で確保しておくことです。これがあることで、暴落時に「生活のために解約せざるを得ない」という最悪の事態を避けられます。

2つ目は、「積立額や積立ペースは、相場が下がっても変えない」と、あらかじめ自分の中でルール化しておくことです。むしろ下落局面は、同じ金額でより多くの口数を購入できる時期でもあります。

3つ目は、評価額を確認する頻度を「月に1回」など、あらかじめ決めておくことです。日々の値動きを追いかけるほど、感情は揺さぶられやすくなります。

過去の下落局面を知っておくことも支えになる

もうひとつお伝えしたいのは、過去の市場は大きな下落を経験しながらも、長期的には回復してきた歴史があるということです。もちろん過去のパターンが今後も同じように繰り返される保証はありませんが、「暴落しても、いずれ回復に向かう可能性が十分にある」ということを知識として知っておくだけでも、心理的な支えになります。

実際、相談の中で「下落局面でも積立を続けられた方」に共通しているのは、下落そのものを気にしていないわけではなく、「あらかじめ想定していた範囲の値動きだ」と受け止められる準備ができていた、という点です。何も知らずに大きな下落に遭遇するのと、「このくらいの下落は起こり得るものだ」と事前に理解した上で遭遇するのとでは、同じ値動きでも受け止め方が大きく変わります。

大切なのは、暴落が来ないことを願うのではなく、暴落が来ても慌てない準備を今のうちにしておくことです。実際に相場が動き出してから冷静に判断するのは非常に難しいので、平常時のうちに、ご自身のルールを一度整理してみてください。特に、初めて大きな下落を経験する方ほど、事前の心構えがあるかどうかで、その後の行動が大きく変わってきます。

ぜひ事前の整理に取り組んでみていただけたらと思います。

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の金融商品の勧誘・推奨を目的としたものではありません。投資は元本割れのリスクを伴います。実際の運用にあたっては、ご自身の状況を踏まえて慎重にご判断ください。

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